こいつ、俺の嫁。
9話「それは反則だろ」
「ありがとうございました…!」
店を出ていくお客に一礼。
ここは駅ビル内にあるカフェ『BerryBerry』。
高校二年になってからまたここでバイトしないかと店長のミオさんに言われ、あたしはまたこの店でお世話になっている。
前と違うのは短期バイトじゃなくて、正式なバイトとして。
最悪だったのはサプライズでテツと未来が店にやって来たこと。
二人とも黒髪ツインテールのあたしを見ては爆笑。
ほんと出入り禁止にしたくなったけど、テツのことをみんな気に入っちゃってダメだった。
特にミオさんが。
「みーちゃん!休憩してきていいわよー!」
「あ、はい!いってきます!」
笑顔を作りすぎて疲れた表情筋をほぐしながら休憩室に入ると、黒髪ストレートの美女が姿勢よく座ってお茶を飲んでいた。
あまりの美しさに見惚れていると、あたしの存在に気付いた彼女は完璧な笑顔を浮かべる。
「あら、みーちゃんも休憩?お疲れ様」
「メイリンさん…休憩室でも美しすぎます…」
美しすぎて目のやり場がない。
この前はこのメイリンさんの代打としてバイトしてたけど、あたしなんかが代打にすらならないほどメイリンさんは美しくて。
いや、メイリンさんの代打になれる人なんて世界中探してもいないと思う。
その美しさは男性とは思えないほどで、またここのバイトを始めてからメイリンさんと会ったけど、初対面の時は開いた口が塞がらなかった。
成宮先輩がここに通いたくなるのも頷ける。