こいつ、俺の嫁。
10話「俺じゃダメ?」
「じゃ、みーちゃんまた来るよー」
「お待ちしてます!ありがとうございましたー!」
カフェBerryBerryの常連のお客さんを笑顔でお見送りする。
すると背後から凄まじい足音が聞こえてくる。
この足音は……!?
恐る恐る振り返れば女性ということを忘れて本能のままに走ってくるミオさんが。
「ちょっとみーちゃん!いつまでバイトなんかしてるの!?
早くいかないと試合終わっちゃうわよ!?」
「えっ…?あ!」
「んもう!何のためにみーちゃんを半日にしたのよ!」
ミオさんのお説教を聞きながら慌てて着替えて店を出る。
ここまで順調に来ていたからすっかり忘れていた。
今日はテツの県大会の決勝ということを。
去年は準決勝で負けたけど、今年は決勝まで進んだ。
これを勝てば念願のインターハイに進める。
それなのにあたしはバイトに夢中で忘れかけていた。
バカすぎる……!
県大会の会場が地元でよかった。いやほんとに。
全速力で走って会場に向かうと見覚えのある人の姿があった。
仁王立ちするその人の周りからはドス黒い怒りのオーラが見えるのは気のせい?