こいつ、俺の嫁。
「みーおーせんぱーい~?」
「も、桃子ちゃん!?すごく怖いから!
周りからすごい黒いオーラ出てるから!」
「誰のせいでこうなってると思ってるんですか!」
「あたしです!あたしですほんとすみません!
だから頭グリグリすんのやめて……!」
会場の出入り口で仁王立ちになって待ち構えていたのは桃子ちゃん。
マネージャーがここにいて大丈夫なの?
とか頭では冷静に思ったけど、桃子ちゃんの頭グリグリの刑が痛くてそれどころじゃない。
しばらく頭を拳骨でグリグリされたかと思ったら、今度は力強く引っ張られた。
「5分ですよ!あと5分したら試合始まりますからね!?」
「え、ちょっと何のこと……わ、…!」
桃子ちゃんに引っ張られるままに連れてこられたのは原高校の控え室。
控え室のドアを勢いよく開けると桃子ちゃんに背中を押されて中へ放り込まれる。
放り込まれたら誰かに勢いよくまた腕を引かれ抱き締められる。
その逞しい腕の感覚や匂いに心が落ち着いてきて、あたしはゆっくりとこの広くて大きな背中に腕を回した。
「遅くなってごめんね……テツ」