こいつ、俺の嫁。
事情をテツから聞いたのか、鋭い勘で察したのか兼田先輩からも心配のメールがよくくる。
学校で会うと絶対に「大丈夫か?」って声をかけてくれる。
心配されるのはありがたいけど、それが逆にあたしの傷を抉る。
心配されればされるほど蓋をしたはずのテツとの思い出が溢れて出てきそうになる。
あれから1週間くらいはブレスレットとネックレスが外せなくて、外したのを見る度に涙が止まらなかった。
お父さんとお母さんもたぶん気付いてると思うけど、何も言わずにいつも通りにしてくれてる。
バイト先でもミオさんやユキさん、メイリンさんにすごく心配されて特にユキさんは何度もご飯に連れていってくれた。
みんなにこれ以上心配かけないようにしようと忘れようとしたけどだめ。
まだテツのことが好きすぎて、大好きで忘れられない。
「ここで鉄也センパイの話をするのもあれなんですけど、鉄也センパイ宮古大に受かったらしいですね。
受かったからよく部活にも顔出すようになって、練習付き合ってくれるんですけどやっぱりいつもより暗いんです。
声かけても『お疲れ』しか言わなくて、これ以上声かけるな的なオーラがすごくて」
一番本人から聞きたかった合格を桃子ちゃんから聞くことになるなんて思わなかったな。