こいつ、俺の嫁。



ベッドから慌てて立ち上がって、今度は窓から逃げようと窓の鍵を開ける。



「おっと逃がさねぇよ?」


「わっ!?」



手首を掴まれて、アッサリとテツの腕の中に捕らわれてしまった。



その腕の中はあまりにも高くて足が宙に浮く。



「ちょ、ちょっと!離して!」


「無理。離したら逃げるだろ?」


「そう!逃げるから!逃げるから離して!」



素直に認めれば離してくれるかと思ったけど、やっぱり離してくれなかった。



じゃあ、逃げないからって言って腕が緩んだ隙に逃げればいいか。



よし!そうしよう!



「に、逃げないから!だから……テツ?」



だから離して。



それは言えなかった。
だってテツがあたしを抱き締める力が強くなったから。


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