こいつ、俺の嫁。
真っ直ぐ見つめられて恥ずかしくて逸らそうにも、真剣なテツの眼差しに体が固まって逸らせない。
あたしが緊張してるのが分かったのか、テツはふっと微笑んであたしの頬を優しく撫でる。
「俺が本気なのは、お前だけだから。
……好きだ、澪」
ずっとこの恋は叶わないと思ってた。
テツはバレーに夢中だし、何よりテツには好きな人がいると思っていたから。
でも諦められなかったのはやっぱりテツが好きだから、大好きだから。
意地悪してからかってくるテツも、
いたずらっ子みたいな笑顔のテツも、
全力でバレーをして汗をかくテツも、
どんなテツもあたしの大好きなテツで。
そんなテツを見る度に、あたしはテツに何度も恋をしていた。
つま先立ちして震えながらもテツの頬に手を添える。
次の瞬間にテツの頬を軽く引っ張る。
「…あんなふざけたように"俺の嫁"なんて言われたら本気にするわけないじゃん。
分かりづらいのよ、テツは!」
「いてっ。澪さん?
俺すげぇナイーブだから、ガラスのハートだからもう傷ついたんですけど?」
「うっさい!」
「え、ちょ、泣いてい……」
「でも……」
テツの言葉を遮って、テツの頬を引っ張っていた手で今度は頬を優しく撫でる。