こいつ、俺の嫁。
不思議だよ。
さっきまで身体中のどこを探しても見当たらなかった勇気が、テツの言葉だけで泉みたいに沸き上がってくる。
笑顔をテツに向けると、思いっきりテツに飛びついた。
落ちないようにしっかりと足をテツに絡めて。
「…好き。テツが好き…っ!」
思いっきり耳元で叫んでやった。
地球の裏側まで伝わって火山を噴火させるような勢いで。
「澪~!」
「…へ、ちょっ!?」
テツに抱きついたら思いっきり抱き締め返されて、その場をぐるぐると回転する。
落ちる!落ちるからやめて!
その思いを込めてバシバシとテツの背中を叩く。
「……まじで……回すのは、ダメだって……」
やっとおろされたあたしは床に座り込んだ。
公園にあるあの回して遊ぶ遊具で2、3周したら気持ち悪くなってたくらいに回るのはダメなんだから。
今もクラクラするし。
「いや、嬉しくてつい。すまんすまん」
謝れば済む問題じゃないわ、アホ。
でもいいか。
やっと両想いになれたんだから。今日くらい。
なんて思えば自然と笑みが溢れた。