彼と煙草とチョコレート
本文
晴れた午後の昼下がり、安藤優子は浮足だって大学校内の裏庭に走った。少し切れた息を整え、裏庭の校舎の真下をゆっくり歩く。
「あっ」
甘いチョコレートの香りが煙とともに優子の鼻を霞む。煙の主は坂口信二。校舎の2階の窓で煙草を吸っているのだ。
優子はこの香りが好きだった。彼の姿を見るのが好きだった。同じ時間・同じ場所、偶然移動のために通ったこの場所が、いつしか優子のお気に入りになっていた。
あの事件が起きるまでは・・・
「あっ」
甘いチョコレートの香りが煙とともに優子の鼻を霞む。煙の主は坂口信二。校舎の2階の窓で煙草を吸っているのだ。
優子はこの香りが好きだった。彼の姿を見るのが好きだった。同じ時間・同じ場所、偶然移動のために通ったこの場所が、いつしか優子のお気に入りになっていた。
あの事件が起きるまでは・・・