溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
「それと、桃園社長のことですが。彼が貴女に近づいたのは、他に理由があります。身の回りで少しでもおかしいと思うことがあったら、逐一私に連絡をしてください。いいですね」
いつになくキリっとしたその横顔に、迷うことなく返事をする。
社長室を出る前にふと振り返れば、携帯で誰かに連絡を取っている背中が見えた。
他の理由って何だろう。
私を遊びに使っただけじゃないの?
記事が関係しているとしたら、今までのことも?
広報に戻ってもなお、考え悩んでしまう。鳴り止まない電話の音が、どこか遠くで聞こえるようだった。