溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
俺に会いに来てよ
火種となった記事が取り上げられたのは、ほんの数日。
1週間もすれば何事もなかったかのように、楽しそうに働く仲間の声と笑顔に溢れるブルーメゾンが戻ってきた。
社長はメディアのコネクションを利用して、あえてTVにコメンテーターとして出演する機会を作り、自らの言葉で堂々と真実を語った。
各紙の取材や社屋前で突然カメラが出迎えても、多少乱暴な物言いにも、にこやかに答える姿が印象的で……。
本当に、格好よかった。
社の一大事なのに、見惚れていたなんて口が裂けても言えないけれど。
「申し訳ありません」
「いいよ、仕方ない」
だけど、1つだけ忘れていたことがあった。
慌ただしさの陰に隠れていた、椎茸の世話という業務を果たしていなかったのだ。