溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~


 熱くなった頬をデスクについた頬杖で隠す。
 呼吸に混じるチョコの香りが、ドキドキと波打つ鼓動にまとわりついて離れてくれない。


 会いに来てと言ったその声色と、指を舐める仕草は痛烈な一撃だった。

 あんなの反則でしょ……。
 私の気持ちも知らないくせに、易々と見せられたら、心臓が何個あっても足りないじゃない。


 未だ残る、指輪の日焼け跡。これが消えたら、社長に想いを告げてもいいのかもしれないなんて、都合のいいことを考えてしまう。

 振られてもいいから、想いが燃えて焦げ落ちてしまう前に、知ってほしいなんて思う恋を、今までしたことはなかったな……。


 それほどに、切なくて苦しくなる。

 この距離が憎らしい。


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