溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~

「ブルーメゾンさんがずっと出している広告、あの制作会社もこのビルに入っていましたよね?」

「えぇ、関連企業ですから」

「そちらをうちの傘下に入れたいなぁって、結構前から思っていたんです。他の企業さんも含めてね」


 桃園さんの魂胆が見えて、思わず目を見開いた。



「そう遠くないうちに伺いますよ。貴女にも会いに」


 指の背で撫で上げられる頬が気持ち悪い。背筋が冷える桃園さんの微笑みに後退りした。



「千夏!」

 私を桃園さんから引き離し、乃利子が代わりに桃園さんを睨んでいる。


「素敵なお友達を持っていらっしゃるようですね。それでは」

 セダンの後部座席で、私には目もくれず、真っ直ぐ前だけを見て去っていく桃園さんが怖いと思った。



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