溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
発売前に、フラッグ出版から原稿が上がってきた。
まだ正式なものではなく、使用する写真と記事の大まかな内容を確認するためだ。
横野さんの仕事がいかに早いかはよく分かった。
それから、葛城社長をどれほど好いているのかも。
「早速お送りくださってありがとうございます」
受信して目を通していたら、横野さんから連絡が来た。
「使用させていただく写真に問題はありませんでしょうか」
「そうですね……この見開きの1ページ目は変えられませんか?」
「そちらは葛城社長が大変お気に召されていた1枚ですので、使わせていただいております」
「なるほど、そうでしたか。認識不足で失礼いたしました」
社長が柔らかく微笑み、真っ直ぐカメラを見つめている1枚には、奥の方で鎮座する色違いの鳥さんがいるのだ。