溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
「待ってるんです」
「何を?……あ、例の記事の校了版は、俺も見たいと思ってたところなんだけど」
「違います。それは明後日の予定と、今朝メールが届きましたので」
じゃあ何、と聞かれて、何てことなく告げたのだ。
「社長が誘ってくださるのを待っているんです」
―――――
―――
―
「っ……」
今すぐに社長室に来るようにと言われ、帰り支度を整えてやってきた。
エレベーターのドアが開くと同時に、出迎えてくれていた彼に手を掴まれ、息つく間もなく社長室内へ連れ込まれて、今に至る。
私の背には、社長室のドア。
何度もキスを落としながら、彼は片手で施錠をしてから私を抱きしめた。
誘ってくれたのは嬉しいけれど、突然のことに気持ちが追いつかない。
それどころか、彼のくちづけが不意にたくさん落とされて、走り出した鼓動の止め方が分からなくなった。