溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
「前に社長が好まれていたもののほうが、ずっとタチが悪いですよ」
「……会議資料の部数を間違えたくせに」
「なんでそれを」
「俺も最初だけ出席したんだよ。予定外だったけど」
解いたネクタイが彼の背後のデスクチェアに放られ、Yシャツのボタンが2つだけ外された。
「ここのところ、仕事に身が入ってないって聞いたけど、どうした?」
「……変わったことはありません。ケアレスミスです」
「そういう時は、俺のせいだって言えよ。ぼーっと考えちゃって仕事が手に付かないとかさ」
言い当てられて、口を噤む。彼は冗談交じりで言うけれど、相変わらず素直になれない。
「罰として、ここからは千夏がやって」
強引に手が導かれ、はだけた彼の胸元に視線を向ける。
いつもはカジュアルな私服で仕事をしているはずなのに、今日に限ってスーツ姿だ。つまり、何割も増した彼の色気が、全身から溢れるように伝わってきて――。