溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~


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 待ち合わせた東京駅丸の内中央口。
 ブルーメゾンが近くにあって、住み慣れたこの街はいつでも人が行き交う。



 休日は専ら眼鏡をかける。それだけのことなのに、待ち合わせにやってきた彼女は少し驚いたような顔をしていた。


 桃園社長に堂々と許可を得るために嘘をついたなんて知ったら、彼女はもっと俺を冷めた目で見るだろうか。
 来ないと後悔するなんて、よく言ったもんだ。彼女が来なかったら落ち込むのは俺のほうだっていうのに。


 でも、それでもいい。

 今日は彼女へのご褒美だなんて言ったけど、本当のところは俺のご褒美。
 もう2度と誘えなくなるかもしれない、彼女と最後のデート。


 失恋するためのきっかけを作っただけ。


 それなのに、いつにも増しておしゃれをしてきた彼女が憎い。
 俺の気を惹くためなんかじゃなく、彼女の休日スタイルを初めて見ただけだって分かってるんだ。


「車で出かけるけどいい?」

「はい」


 1歩後ろをついて歩く彼女を振り返って話せば、俺の心臓がギュッと苦しくなった。


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