溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
『楽しみにしております』
今日は桃園社長と食事に行く約束だ。
リクエストを聞かれて、お肉がいいと答えたら、了解とだけすんなり返された。
きっとどこのお店が美味しいか頭に入っていて、連れて行くにも探したりしないのだろう。
「白埜さん、今度の取材の原稿ってこんな感じでどうかな」
会議終わりの葛城社長が、デスクにいる私の元へやってきた。
周りの女子全員が、一瞬でも手を止めて社長を見る。もし桃園社長から鳥さんが贈られていなかったら、今ごろ好奇の目にさらされていただろう。
「早速ありがとうございます。目を通させていただきます」
「なるべく早く頼みますね。外出が立て込んでいるので」
「畏まりました」
社長が去ってから、後ろに座っている1年先輩の女子が、椅子のキャスターを転がして寄ってきた。