溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~

「社長と喧嘩でもしたの?」

「……?なにもありませんよ?」

「だって、千夏ちゃんって呼ばないじゃない、このところ」

「気が変わったんじゃないですかね」

「だとしたら、千夏の塩対応もちょっとは問題アリってことよ?気をつけなさい」

 はい、と聞き分けのいい返事をしておく。


 私に問題があるのは分かっている。

 関係を疑われないようにと、社長を煙たがったようなものなのだから。

 逆の立場で考えれば、容易に理解できる。親しみを込めて下の名前で呼んでいてくれたことも、頼りにしてくれていた距離感も、全部否定されたような気分なのかもしれない。


 かといって、謝ろうにも謝りきれないというか……。


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