溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
大変申し上げにくいのですが
――シュッとひと吹き。つやつやして可愛いでしょ?
……って、可愛くもなんともないんですけど。
肉厚で大きくて、美味しそうではありますが。
想像だけで、目の前の椎茸をバター醤油で焼けば、イイ匂いが再現されて空腹を刺激された。
「ごめんね、忙しいのに」
「これも仕事ですので、お気になさらずゆっくりされてください」
多忙の合間を縫ってランチをする社長こそ、いつだって忙しそうだ。
この前だって、あの時間にコンビニのパンを買っていたということは、夕食代わりだったのかもしれない。
階下のレストランに注文したタイ料理を頬張りながら、業界の専門誌や新聞、ネットの情報を見る社長を横目で見る。
まさか、椎茸を栽培しているとは思いもしなかった。
取引先から貰ってしまったから、渋々始めたと言っていたけれど、生活を共にしていると椎茸でも世話を怠らないようになるものなのか。