溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
「ちょっとちょっと、千夏!」
突然の告白で思考回路が混線しているところに、今度は同期3人衆が私を取り囲んできた。
「え、なに?みんな怖い顔してる」
「当たり前でしょ、いいから来て」
エレベーターで外した指輪をポケットに確かめながら、憤りを隠せない様子の彼女たちの後ろを行く。
フロアの片隅にある小会議室に入ると、週刊誌担当の先輩女子が、ボスのように待ち受けていた。
「これ、ちゃんと見て。事実確認だから」
コの字型に配置されたテーブルの上に、開かれた原稿がある。
【ブルーメゾン社長・葛城亜緒の本当の顔】
大きな見出しは、社長の名前が悪目立ちするようにデザインされているのが分かる。
「要約すると、千夏が会社を出たところで社長から指輪を渡されて喜んでたって記事よ。しかも撮られた写真は目元が隠れているけど、間違いなく千夏だってことは社内の人間なら一目瞭然。これは1週間後発売になるそうよ。事実確認の上で、早急に対応を決めなくちゃいけないってこと、貴女も広報だから分かるわね?」
先輩の話を聞きながら、手にしたそれに見入った。