溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
「……社長とは、特別な関係ではありません。私は、一社員でしかありません。それが事実です」
「じゃあ、指輪は?ご丁寧にズームした写真まで掲載されてるわよ」
考えなくとも、雨賀碧と葛城社長の対談があった日の帰りの出来事だと思い出せる。
人目を気にしつつ、もらった指輪をつけていたところに、社長が来て……。
あぁそうか。社長があんなに不機嫌そうだったのは、そういうことなのか。
告白されたばかりの頭で、今まで引っかかっていた社長の言動を思い出す。
私が桃園社長と親しくなってから、如実に態度に表すようになったのは気のせいなんかじゃなかったんだ。
「指輪は、他の方からいただいたものです」
「誰からもらったの?!」
すかさず乃利子や里美、春華が詰め寄る。1番結婚や恋愛から遠かったはずの私がこっそり指輪をもらっていたとなると、真実を話さなくてはこの場は収まらないだろう。