溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~

 脳内がぐったりしていても、仕事は進めなくてはいけない。
 ネットや電車の広告に掲載する商品会議には、いつものごとく社長も出席していて、目が合うだけで意識させられてしまった。

 今まで感じたことのない心の動揺に、深く呼吸をして落ち着きを促す。これから社長と顔を合わせるたびに、毎回動揺していられない。
 それに、社長は冗談でプロポーズをするような人なんだから、告白は本気じゃないはず。
 きっと、私をからかっただけだ。




「白埜さん、おめでとうございます」

「……なにがですか?」


 会議終わり、自席へ戻ろうと廊下を歩いていると、普段ほとんど会話しない総務課の女子社員から祝福を受けた。


「あの超セレブ社長とご結婚されるって聞きましたよ」

「えっ?!結婚?」


 慌てて同期3人に連絡を入れると、もちろん彼女たちではないと返された。さすがに日頃私生活の色々を話している仲間の秘密を拡散するような人たちではない。


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