溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~


「先輩」

「お疲れさま。会議どうだった?あとで議事録を回して」

「どうして秘密を守っていただけなかったんですか?」

「記事は事実と異なるって、さっき向こうの担当と打ち合わせたのよ。こっちも何人か同席してたから言いたくなかったけど、相手がなかなか手強くて、千夏は他の方から指輪をもらってるって渋々話すしかなかったの。そしたら、相手の方から桃園社長ですよねって言ってきたから、肯定しただけ。誤解しないで頂戴」

「……失礼しました」

「そもそも、写真を撮られたアンタが悪いんでしょうが、まったく」

「すみません」



 先輩が言うことはごもっともだ。
 撮られた私が悪いんだし、仕事を増やしてしまっているのは事実。

 だけど、まさかこんなことになるとは思ってもいなくて……。



「社長がどう判断するか、返事待ちだから。千夏はしばらく大人しくしていなさい。外で記者っぽいのに絡まれないように気を付けること」

「そうします」

 散々だな……。
 気を取り直して仕事に臨もうにも、頭の片隅に社長がチラついて消えてくれない。


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