夫婦ルール

 「先生!ひかるはまた聞こえるようになりますよね」

 「難しいでしょう」

 「そんな」

 「なんでひかるが!」

 かわれるものなら代わってやりたい

 たった五年でひかるは音を奪われ無音の世界にたった一人で

 「ひかる?」

 もちろんひかるは聞こえない

 「ひかるー!」

 詩音は現実が受け止められず何度も何度もひかるを抱き締めながら泣いた

 「なにーママ、どこかいたいの?」

 「ううん・・・ごめんね、ごめんねひかる」

 見ている僕も泣いていた
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