大悪魔さんのターゲット。
というわけで、あの日以来

「あ、朝山さんおはよ。」

「‥‥」

三上くんとの雰囲気が気まずすぎて、どう返したらいいのか迷っている間にスタスタと歩いていってしまう。

「最近紅音くん元気ないよね。」

「ねぇ、朝山なにかしたの?」

「え、えっと‥‥私はなにも‥‥」

「まぁ、やらかすのって大体紅音くんだもんね。」

うっ‥‥。そう思われてると思うとなんだか三上くんに申し訳なくなってくる。

それから数日私と三上くんは口を聞くことがなくなって、私の仕事も忙しくなって‥‥

「今日休みは朝山と三上か?」

「はい」

こんな日もしばしばあった。

あれから三上くんは学校に来なくなって、私の隣の席はポッカリ空いている。

「朝山よかったな。隣のちょっかいかけてくる奴休みでさ。」

「あはは、確かにそうかもです‥‥」

周りの男子にそう言われ、三上くんの休んでる原因が自分かもしれないと思うと罪悪感が凄かった。

あれ、でも私は平和な授業を望んでるんじゃなかったっけ‥‥

三上くんにちょっかいを出されない授業を、学校生活を望んでたんじゃなかったのかな‥‥

「なんだか‥‥三上くんいないと寂しいな‥‥」

放課後、ほとんど帰るか部活に行ってしまって誰もいない教室にぽつりと呟いた言葉は誰にも聞こえな‥‥

「お前‥‥お人好しなのかよ‥‥」

聞こえてたっ!?
確か彼は同じクラスの男子。彼は小さく「めんどくせぇなぁ」と言うと私のカバンを持ってどこかへ行こうとする。

「わ、私のカバンどこ持って行こうとしてるんですか!?」

「‥‥いーからついてこい。」

私は言われるがまま彼の後ろをついて行った。
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