呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。
「うん、本当にごめん。でもさ、出来ればやっぱり離れて……」
眉を寄せながらも腕を外したりはしてこなくて。
弱々しい台詞が可愛かった。
「やだ。もう少しだけ!」
意地悪もしたいけど、今はまだ離れたくなくてそう言うと、顔を隠すようにぎゅーっと抱き締められる。
「あーもうっ!分かった。頑張るから」
そう言って、私を膝の上に乗せ抱き締め続けて苦行のように顔を歪める。
もう気持ちを抑えなくても良いんだという解放感とちょっとばかり(今日だけは)優位に立ててる高揚感から今まで出来なかったおねだりをしてしまいたくなる。
決して意地悪がしたいわけではない。
「ねぇ、雄大。あのね、今日は甘えても良いかなぁ。…………嬉しくて離れたくない」
「っ、う、うん?ちょっと待って、少しタイム」
タイム?
抱き締めた体勢のまま私の頭に雄大の頭も乗る。髪にかかる吐息で深呼吸しているのが分かった。
「雄大?」
「ん?大丈夫。イケる」
「何が?」
「あのね、央が可愛すぎて色々と大変なだけだから大丈夫」
「なっ、」
「ん、大丈夫。今日は好きなだけ甘えていいよ。央と居たいのはそれだけじゃないから」
「っ、!!!!」
「本当にセフレだなんて思ったこと無いから。兄貴達にも思われてもしかた無いって言われた。
本当にそうだなって思った」
「雄大…………」
「たださ、……央の行動がいちいち可愛くて。只でさえ忙しくて会えなかったのに、そんな可愛いとこ見てたら我慢できなくて。がっついてたなって自覚はある。
いやまぁそれは俺が悪いんだけどね」