呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。
ちょっとだけいたずら心が芽生えてきた。
色々この機会に聞いてしまおう。
「ね、いつから好きでいてくれた?」
「は?」
「因みに私は、コーヒーショップで助けてもらったときに一目惚れしました」
私は言ったよ、さぁどうぞ。
と、言わんばかりににっこり笑ってやった。
「っ、マジですか。ははっ、嬉しいな。
…………引くなよ」
引く?
「知ってたんだよ。お前、……央のこと」
知ってた?って何?
少し気まずそうに、でも覚悟を決めたように私の顔に雄大の手が目を隠すように覆う。「恥ずかしいから見ないで、」なんて呟いて。
やばい。
可愛すぎる。
「幼稚園のバスコースでN通り通るだろ?」
目を覆われたままふと考える。
N通り?
確かに3年ほど前はバスコースだった。
でも年長組の生徒が一人いただけで、雄大と出会った時には卒園していてその道は通ってなかった筈だ。
「その頃クライアントが近くの会社にいて、就業時間前に打ち合わせをしたいからって暫く朝早くから通ってたんだ。
たまたまバス停の近くに幼稚園バスの指定場所があって…………」
そこまで話して口をつぐむ。
まだ恥じらいがあるのか言葉が続かない。
「………………私の事、見てたの?」
雄大の手を外して、そのまま握りしめた。
問いかけてみた。
視線が合って、でも恥ずかしそうに耳を赤くして「…………っ、はぁ。━━━そう」と、ポツリと白状した。