呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。
「えっ?何々?どんな子、可愛い系?美人系?」
「可愛い系!何かねー清楚な感じで純粋そうで、でも芯はしっかりしてそうな感じ。駄目だよーあんな子弄んじゃ」
あー俺ならめーいっぱい甘やかしてやるのに!なんて悶えるように身をよじる西園寺。
だから、きもいって。
「そんなんじゃねえって、」
「彼女じゃ無いんだろ?あーあ、あの子泣きそうだったぞ?」
「は?」
「あの後あからさまに居心地悪そうに帰ってったじゃん。泣きそうな顔してたぞ?」
「っ、」
「で?その子なの?」
にやにやした顔から一転、真面目なトーンで航大が聞いてきた。
「っ、彼女だよ。でも、もうフラれたし」
「マジで!?あーあ、やっぱなぁ」
俺にしとけば良かったのに、なんて言い続ける西園寺はほっといて、『フラれた』なんて声に出せば、未だ癒えない未練が沸々とわいてくる。
女々しいな、俺。
突然、
「あーーーーーー!!!!!」
なんて西園寺が叫びだし、煩いっ、なんて航大に怒鳴られてる。
ほんっと騒がしいな、こいつら。
「思い出した!ほら、この前いったマスターんとこの定員さん!
俺さぁ絶対どっかで会ったと思ってたんだよね。航大、覚えてない?あの女の子がそうだって」