呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。
転機が訪れたのは4ヶ月目に入りたてのバレンタイン。
ただの知り合いだった私は内に秘めた淡い想いをただただ育てていただけで、クリスマスも年末年始にも動くことは出来なかった。
だけど、バレンタイン。
天下のバレンタイン。
恋する味方のバレンタイン。
彼くらい格好いい人ならば至るところからチョコレートくらい貰うだろう。
そこに紛れて私だって渡してもいいんじゃなかろうか。
こんなにドキドキしたのは久しぶりだった。
いや、初めて!?
そこに気持ちをのせて渡すことはまだ出来ないけれど、『顔見知り』の枠を越えたかった。
越えたその先が恋人ならば嬉しい限りだが、高望みは出来ない。
今までの経験上、まずは友人関係としてフランクな付き合いをしたかった。
ささやかながら、まずは連絡先の交換。
次は、他愛ない会話や、ラインのやり取りなど。
その先に遊びに出かける事が始まって、のちお付き合い。
私の数少ない過去の彼氏たちとの始まりはいつもこんな感じだった。
だから、その全てを一気にぶっ飛ばして始まったこのお付き合いにあっけなく私は溺れてしまったんだ。