呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。
「央、こっち」
手を引いて、連れてきたのはホテルオーラル。
俺の仕事を見てほしい、なんて誘い出してそれ以外何も言わずにここまで連れてきた。
普段、あまりホテルを利用したりしないとは言っていたが、物珍しそうに目を輝かせている。
目がまん丸くなってるとか、可愛すぎるだろ。
フロントを通りすぎ、そのまま目的地へ向かう。
「ね、ねぇ雄大?」フロントを素通りした辺りからそわそわと俺の手を引く央に笑顔で交わして暫く付いてきて貰う。
一体自分が何処へ連れていかれるのか全く分からないと央の不安げな視線が又可愛くて。
ついつい意地悪をして、何も言わずにここまで連れてきてしまった。
俺の手掛けた初めての大きい仕事。
ホテルオーラルの結婚式場の改装だ。
元々2つあったチャペルの1つをリニューアルさせて落ち込んでいたホテルウエディングの集客をUPさせようとこのホテルオーラルでウエディングプランナーとして働いていた薫子さん経由で兄である航大の事務所に依頼が入った。