呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。
バレンタイン当日。
ドキドキドキドキ煩い胸を抑えつつ、桜木さんが来るのを待った。
いつもより早く店に来て、職場である幼稚園まで走って出勤しなくちゃいけなくなるほどギリギリまで待った。
だけどその朝、彼に会うことが出来なかった。
昨日会ったときに、約束を取り付けておけば良かった!なんて悔やんだが、悔やんだところできっと出来なかったんだろうけど。
毎日約束をしていた訳じゃないんだ。
毎日会えてた訳でもないんだ。
だから、今日会えなくても……と数日持ち歩いてみたが一週間、会うことが出来なかった。
このすれ違いが私達の関係を表しているようで、勘違いするなと言われているようだった。
運命、なんて思い込みもはだはだしい。
悲しくて、恥ずかしくて、それでも彼を思って用意したチョコを捨てることも出来なかった。
ただの『顔見知り』。
ステップアップした関係を望んでいるのは私だけだったという事実。
だって、バレンタインなんだ。
少なからず私から欲しいと思ってくれていたならば彼はお店に来た筈なんだ。
そう言うことだ。