呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。
何となくお店へ行くことができなくなってしまった。
私の心情なんて桜木さんは知るわけもないんだからそのままいつものように会えばいいんだ。
そ知らぬ顔をして、バレンタインなんて私と桜木さんの間には関係ないふりをして、ただの顔見知りを続ければいいのに、何故かそれが出来なかった。
勝手に期待して、勝手に自惚れてた自分が恥ずかしすぎて、冷静に彼に会うことが出来ずにいた。
それに、ほら。
私たちはこの小さなコーヒーショップから出ることすら出来ないんだから。
バカみたい。
こんな小さな世界でしか会えない人に勘違いするなんて。
あぁ。
自己嫌悪で恥ずかしすぎる。
しかもあんなハイスペックな人、普通に考えても私みたいな地味な女を相手にするわけ無いじゃない。
はぁぁぁぁぁ、
本当に、バカみたい。
無限ループのように同じ事を繰り返し思い出して、気づけば3月に入っていた。