呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。

「っ、」

「ご、ごめんなさいっ。突然すみません。だけど、どうしても会いたくて……あのお店以外でも桜木さんに会いたかったんです」

「っ、」

「こま、困りますか?」

「━━━っ、」

「ごめんなさい。突然こんなこと言われても困りますよね」


あぁ。困らせるつもりはなかったのに。
そんな困った顔を見たかった訳じゃなかったのに。



やってしまった。


感情が高ぶって、ぶちまけてしまった。
冷水を浴びたように一気に身体中の体温が下がる。

恥ずかしい。
恥ずかしい。
恥ずかしい。

勘違いも甚だしい‼

その場の空気を掻き回すように早口で捲し立てる。
彼の言葉も聞かずに。

それどころじゃ、無かったんだ。
冷静になんかなれなかった。


< 28 / 134 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop