呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。
※ ※ ※
始まりのあの日。
気だるげに目が覚めると、隣から温もりが消えたいた。
夢だった……?
そのわりには体が彼を覚えていて。
触れた胸の厚みとか、スーツを着ていたときには分からなかった硬い背中とか。
明らかに男を連想させて頬が熱くなる。
お夜食を一緒に取ったテーブルの上、小さな白い紙が目に入った。
…………なんだろ?
【桜木 雄大】YUUDAI SAKURAGI
朝、コーヒーショップ!
名前だけの名刺。
プライベート用の名刺かな?
そこに急いで書いたことを想像させる流れるような文字でそう書いてあった。
まぁ今日は平日だしね。
私も普通にお仕事です。
珍しく2番コースだったけど、桜木さんに会えるのは1番コース時間帯。
流行る気持ちをなんとか抑え込み、いつもより少し早めに家を出た。
いつものコーヒーショップの店の外。
入る前にガラス張りの店内を覗き込みながら桜木さんを探した。