呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。

なっちゃんと別れて、気分転換にふらふらと歩いた。
今年は担任を持っていないため、少しだけ時間に余裕がある。

気持ちを持ち上げようと好きな雑貨屋さんに足を向けるが、やはり何を見ても色褪せて見える。

そうだ。
足を伸ばしてあの公園へ行ってみよう。

ふとそう思って、電車にのった。


職場である幼稚園の近くにある公園は小高い丘に作られていて、その外れにあるベンチから見る景色が好きだった。

新人の頃はよく行ってたけど、懐かしいな。

ふふ、なっちゃんとも来たことあったっけ。



時間的に夕焼けには少し早いか。

夏真っ盛りの今、このベンチは木陰になっていて過ごしやすかった。


ただ、何も考えずにぼんやりと景色を眺められたら良かったのに。
頭にあるのはこれからの事、きっと自分が動かなければこのまま終わっていくのだろう。
いや、自分が動いたとしても終わりを明確にするだけだ。

二人の未来が、何も見えなかった。


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