呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。
引っ越しのすぐ後、それでも暦は9月に入っていて、引っ越す前日のあの電話から2週間たって雄大から連絡があった。
2週間か……まぁまぁだったな。
「もしもし?」
『おいっ、お前何処に居るんだよ!』
「家」
『はぁ?だって、ここ……』
「うん、引っ越したから」
『はっ?』
「あのね、私もう待つのに疲れたの」
『っ、』
「私、雄大の事好きだった。大好きだった。だから会いたかったし声が聞きたかった。雄大にもそう思ってほしかった」
『っ、━━━連絡したらいいのかよ』
「うううん、もう遅いの。この前さ、3ヶ月ぶりに夜遅くに電話したの覚えてる?」
『あ?……あぁ』
「あの時ね、コンビニに行った帰り道で変な人が近くにいて目があったの」
『は?』
「怖かった。目が合って、近付かれて、逃げなきゃって思っても足が動かなくて、雄大に助けてほしかったの。
電話だからそんな事無理なのは分かってるけど、早く逃げろ!って大丈夫か?って言ってほしかった」
『おいっ、大丈夫だったのか!?』
「うん、偶々人が来て逃げてった」
『はぁ……そっか……良かった』