呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。

無言のままエンジンを止め、運転席から出た雄大は再び助手席のドアを開け私に出るように手を伸ばす。

知りたい気持ちと、知りたくない気持ち。


あの、素敵な女性とここに入っていった雄大を思い出す。

あの絶望する気持ち。


あんな思いをするのはもう嫌だ。










助手席で震える私に気付いて雄大が慌てたように覗き込んできた。


「おい！ヒロ？どうした？」


ここではっきり聞いた方が今度こそ吹っ切れるだろうか。
あの惨めな思いを、今度は乗り越えられるのだろうか。

心配そうに皺を寄せる雄大に、聞きたくないと思っていても口から出てしまった。


「…………雄大、ここは何処？」


口を震わせて話す私に雄大が目を丸くする。

「大丈夫か？俺の家。おい、顔色悪いぞ、部屋で休もう？」

「私、入りたくない……だって、雄大と女の人がここに入っていったの見たの。
………………悪いよ」



雄大の腕をとって、二人で入っていった。
その後も出てこなかった。


二人が何をしていたのかなんて分からない。だけど、それを聞く余裕なんてあの時の私には無かった。