呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。

考えて、考えて、考え抜いた結果、それにした。

次の日から、いつもより少し早めに家を出た。
コーヒーショップで少しでも時間を多く過ごすために。

いつものように、いつもの席に腰かけて、彼が来るのを待ちわびた。
この場所は入口がよく見えるから見落とすことはないだろう。

いつものようにやってきた彼に胸がドキドキする。
どうやって声をかけようか。
そう思いながらも注文する為にレジに向かう彼から視線が外せない。

なるようになれ、とレジの、彼の近くに向かい品物を受けとりこちらを振り向いた彼を待ち構えた。

「あ、あのっ、!」

「うおっ、………………はい」


私に全く気づきもしていなかった彼は、突然かけられた声に本気でびびっていたみたいだ。

うおっ、だって。
驚かせてしまってすみません。

「あの。突然すみません。少しだけお時間よろしいですか?」

話ながら先程まで私が座っていたカウンターに視線を流し、そこに誘導した。

ついてきてくれてるってことは、覚えててくれてるんだろうか。

何回か会釈もしてたしね。
覚えては、いてくれてるよね。



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