呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。
いつの間にか膝が付き合うほど近い隣に雄大が座っていた。
恥ずかしさを我慢して、真っ赤な顔を隠そうともせず私を見つめて。
どえしよう。
恥ずかしい。
こんな風に見つめ合うなんて堪えられない。
我慢比べのように視線を外せないまま雄大は続ける。
「央が言ってた女の人は薫子さんて言って、母親の姉の子供で今年48歳になるかな。高校生と大学生の子供もいる。
あの日、………………っ、はぁ、」
言いにくそうに言葉を詰まらせて。
「言うっていったしな」とかなんとか。
意を決したように再び話し出す。
私はただ、雄大の話を待った。
ちゃんと、聞かなきゃ行けないと思ったんだ。
膝の上で握りしめていた手に雄大の手が重なる。
「引くなよ、」なんて前置きして。
「あの日、多分央が見たのは薫子さんと仕事の打ち合わせ中に寝不足と過労で倒れたときだと思う。ただの夏風邪だったんだけど、その時は熱が高くて。
公園前でタクシー降りて突っ切った方が早いと思って薫子さんに付き添ってもらった。
一応、生物学上はあの人も女だもんな。
この部屋に薫子さん以外の女を入れたこともなければ薫子さんもあの時だけだ」
言ってることは分かるし、そう言ってくれたら納得も出来る。
ただ、言いにくそうにしていた意味が分からない。