呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。

顔から手を外し、向かい合うと再び手を握られた。

視線をしっかり合わせて。



「今日、央があの店に居ること教えてもらった。その時に兄さん達に色々突っ込まれて、自分の不甲斐なさにへこんだ。

本当にごめん。
央、好きだよ。俺の事もう嫌いになった?」


そんな言い方、狡すぎる。
眉を寄せて困ったような不安げな顔を見せるのも、狡い。

今更何よって、意地になってはね除けたいのに出来なくなる。



困った顔が、
不安げな顔が、

可愛いなんて。
嬉しいなんて。


どうしようもなく胸が熱くなる。






繋がれた手を握り返すと、
握り返してくれた。


忘れることなんて出来なかった。





結局、雄大が好きなんだ。






< 95 / 134 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop