呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。
顔から手を外し、向かい合うと再び手を握られた。
視線をしっかり合わせて。
「今日、央があの店に居ること教えてもらった。その時に兄さん達に色々突っ込まれて、自分の不甲斐なさにへこんだ。
本当にごめん。
央、好きだよ。俺の事もう嫌いになった?」
そんな言い方、狡すぎる。
眉を寄せて困ったような不安げな顔を見せるのも、狡い。
今更何よって、意地になってはね除けたいのに出来なくなる。
困った顔が、
不安げな顔が、
可愛いなんて。
嬉しいなんて。
どうしようもなく胸が熱くなる。
繋がれた手を握り返すと、
握り返してくれた。
忘れることなんて出来なかった。
結局、雄大が好きなんだ。