呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。
「ありがとう、うん。俺も好きだ」
体に回された腕に力が加わって、少しだけ強く抱き締められた。
言葉がきっと、足りなかった。
最初から間違えてたんだ。
抱き合った事が間違えたことじゃない。
その後も私たちは言葉が足りなかった。
大人の恋だなんだって、そんな定義はどこにもないのに。
肩に抱き寄せられたまま雄大の腕をキュッと掴んだ。
匂いが、腕の固さが、雄大だって安心させてくれる。
雄大の長い指先が髪に絡み付く。
それが合図のように顔をあげた。
近づく雄大の顔。
ゆっくりと目を閉じて、優しいキスをした。
触れるだけの、軽いキス。
もう一度、恋を始めよう。