王子、月が綺麗ですね
1 葵side 朔
破鐘のような蛮声が響き渡った。
何事かと、体を急ぎ起こしベッドを出た。
漆黒に目を凝らし、剣を手に取ると慌ただしく扉が開いた。
「王子、謀叛です」
「首謀者は?」
「王女の婚約者候補玄燥氏……」
有力貴族の名に、驚きよりも先に溜め息をついた。
やはりと思ったのだ。
兆しは幾つかあった。
だが、思い返している間はなかった。
「王子、此処は危のうございます」
凛音は俺に騎士服を押しつけ、着替えを手伝った。
我が国の王位継承資格は王室典範第1条に「王位は王統に属する女子が、これを継承する」と謳われ、女子にある。
そう、母が我が国の現首だ。
「母……陛下たちは?」
凛音はうっと声を詰まらせ答えなかった。
「王子!」
俺の手をキュッと強く握りしめ「お急ぎを」と、扉の外を窺う。
騒がしい声が階下から聞こえた。
何事かと、体を急ぎ起こしベッドを出た。
漆黒に目を凝らし、剣を手に取ると慌ただしく扉が開いた。
「王子、謀叛です」
「首謀者は?」
「王女の婚約者候補玄燥氏……」
有力貴族の名に、驚きよりも先に溜め息をついた。
やはりと思ったのだ。
兆しは幾つかあった。
だが、思い返している間はなかった。
「王子、此処は危のうございます」
凛音は俺に騎士服を押しつけ、着替えを手伝った。
我が国の王位継承資格は王室典範第1条に「王位は王統に属する女子が、これを継承する」と謳われ、女子にある。
そう、母が我が国の現首だ。
「母……陛下たちは?」
凛音はうっと声を詰まらせ答えなかった。
「王子!」
俺の手をキュッと強く握りしめ「お急ぎを」と、扉の外を窺う。
騒がしい声が階下から聞こえた。
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