王子、月が綺麗ですね
自ら話しながら、寒気がした。
──其方の身、陰陽の気が乱れておる
龍神の言葉が甦る。
「東西南北の明王の祠、直ちに調査せねばならぬな。念のため四神の社も調査したほうがよかろう。八咫烏を遣わせよ」
「御意」
「八咫烏!? 王族は人外の物も操ると聞いたが、八咫烏とはな」
「伝書鳩より数倍もあてになる。夜眼も聞くしな」
「昼間のあれも?」
「ヒーリングとやらか? あれは覚えがない。何かの間違いであろう。忘れるがよい」
「むちゃくちゃだな」
「ヒーリングなど、下手に広まれば厄介だ。自分の足も満足に動かぬのに」
「表裏があるんだな。安心した」
可笑しなヤツだと思う。
奉納試合で闘った時よりもずっと、彼を身近に感じた。
「また手合わせをしたいものだな」
「その足で?」
「全く動かぬわけではない。調子が良い時に」
──其方の身、陰陽の気が乱れておる
龍神の言葉が甦る。
「東西南北の明王の祠、直ちに調査せねばならぬな。念のため四神の社も調査したほうがよかろう。八咫烏を遣わせよ」
「御意」
「八咫烏!? 王族は人外の物も操ると聞いたが、八咫烏とはな」
「伝書鳩より数倍もあてになる。夜眼も聞くしな」
「昼間のあれも?」
「ヒーリングとやらか? あれは覚えがない。何かの間違いであろう。忘れるがよい」
「むちゃくちゃだな」
「ヒーリングなど、下手に広まれば厄介だ。自分の足も満足に動かぬのに」
「表裏があるんだな。安心した」
可笑しなヤツだと思う。
奉納試合で闘った時よりもずっと、彼を身近に感じた。
「また手合わせをしたいものだな」
「その足で?」
「全く動かぬわけではない。調子が良い時に」