王子、月が綺麗ですね
12 凛音side 王子のために
「まだ寝ないのかい」
瑞樹さまに問われ「日記をつけておりました」と答えた。
王子のお側につき始めて以来、ずっと欠かさず日記をつけている。
簡単な覚え書き程度の日記だったが朔の出来事以降は、その日の出来事や様子をできるだけ詳しく書くようにしている。
「マメだね。あの子の側にいて、毎日書くほどのことがあるのかい? 大して変わったことはないだろう」
「旅先では何が起こるかわかりませんし、王子のお身体も心配ですから」
「面倒なモノを背負いこんじまったからね。あんなことしなけりゃ、厄介なことにはならなかったのに」
瑞樹さまは大きく息を吐き出し、髪を掻き上げた。
「でも、王子があの時」
「わかっている、わかっているさ。だから尚更、不憫なんだ。何とかしてやりたいと思っても何にもできゃしない」
瑞樹さまに問われ「日記をつけておりました」と答えた。
王子のお側につき始めて以来、ずっと欠かさず日記をつけている。
簡単な覚え書き程度の日記だったが朔の出来事以降は、その日の出来事や様子をできるだけ詳しく書くようにしている。
「マメだね。あの子の側にいて、毎日書くほどのことがあるのかい? 大して変わったことはないだろう」
「旅先では何が起こるかわかりませんし、王子のお身体も心配ですから」
「面倒なモノを背負いこんじまったからね。あんなことしなけりゃ、厄介なことにはならなかったのに」
瑞樹さまは大きく息を吐き出し、髪を掻き上げた。
「でも、王子があの時」
「わかっている、わかっているさ。だから尚更、不憫なんだ。何とかしてやりたいと思っても何にもできゃしない」