王子、月が綺麗ですね
丸2日も眠り続けて癒えないほどの疲労感など、尋常ではないなと思う。

足が立たないほどの脱力感など、未だかつて経験したことがなかった。

自分がいったいどれほどの力を得て、どれほどの力を使ったのか、想像もつかない。

4日後には「闘神祭」が控えている。

闘神祭とは、王女の婿を決める儀式だ。

優勝者が王女の婿になるのだが、試合に代理人を立てることも認められている。

様々な地域、各国から我こそはと剣豪が集う一方、財力に物を言わせ、強力な闘技奴隷の助っ人を代理人に立てる有力貴族も多い。

その闘神祭のオープニングに、両陛下から奉納試合を行うよう依頼されている。

不安と焦りが一気に押し寄せ、血の気が引いていくのが解った。

皇族として無様な試合は見せられない。

ましてや、姉上の婿を選ぶための闘神祭の前座だ。

負ける訳にはいかない。
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