王子、月が綺麗ですね
18 凛音side 晦日(つごもり)
梢琳の宿を出立した後。
わたしたちはひと山越えて、麓の村にたどり着いた。
有明月の翌日に出立し、今日は晦日。
この3日間、王子は紅蓮殿と祥に入れ替わり立ち替わり背負われていた。
月は形をなさず見えない、朔の前日。
「不調の原因、月のせいか?」
祥が荷物を担ぎ直しながら、王子に訊ねた。
「すまないな……ここまで月の影響を受けるとはな」
「葵くん、月の影響だけとは限らなのでは? 八咫烏からの連絡もまだないようだし」
紅蓮殿が落ち込む王子の気をそらすように言った。
「ああ。式神からも何もない」
「何かが起きていると見るのが筋だろうね」
わたしは見えない月を見上げる。
「あんた、体はどうなんだい、熱も出てるだろう?」
「宿まで急ぐぞ」
わたしたちは会話も少なく、宿を目指した。
わたしたちはひと山越えて、麓の村にたどり着いた。
有明月の翌日に出立し、今日は晦日。
この3日間、王子は紅蓮殿と祥に入れ替わり立ち替わり背負われていた。
月は形をなさず見えない、朔の前日。
「不調の原因、月のせいか?」
祥が荷物を担ぎ直しながら、王子に訊ねた。
「すまないな……ここまで月の影響を受けるとはな」
「葵くん、月の影響だけとは限らなのでは? 八咫烏からの連絡もまだないようだし」
紅蓮殿が落ち込む王子の気をそらすように言った。
「ああ。式神からも何もない」
「何かが起きていると見るのが筋だろうね」
わたしは見えない月を見上げる。
「あんた、体はどうなんだい、熱も出てるだろう?」
「宿まで急ぐぞ」
わたしたちは会話も少なく、宿を目指した。