王子、月が綺麗ですね
身を捩り腕を振り回し、抵抗する俺の体を、副騎士長紅蓮は軽々と肩に担いだ。
「離せ、下ろさぬか」
俺は足と手をばたつかせ、背中を拳で叩き暴れ回った。
「大人しくなさいませ」と、俺の体を何がなんでも離すまいとする紅蓮の腕を振りほどき、俺は勢いよく走り出した。
数メートル走り、突如としてペンダントから太い柱型の凄まじい光が立ち上った。
青白く光った柱は俺の頭上で、龍の形に姿を変えた。
俺は龍の形の光を見上げ、ペンダントをギュッと握りしめた。
「──母上」
頬に冷たいものが伝い指で拭おうとした刹那、ペンダントを握りしめた左手が熱くなり、指の隙間から青白く光を放った。
龍の形をした閃光がそれに呼応するように、俺の頭上を旋回しピタリと止まり、龍が実体化した。
真っ白な雪のように白い龍だ。
ぎらついた眼を見開き、俺を見据える。
「離せ、下ろさぬか」
俺は足と手をばたつかせ、背中を拳で叩き暴れ回った。
「大人しくなさいませ」と、俺の体を何がなんでも離すまいとする紅蓮の腕を振りほどき、俺は勢いよく走り出した。
数メートル走り、突如としてペンダントから太い柱型の凄まじい光が立ち上った。
青白く光った柱は俺の頭上で、龍の形に姿を変えた。
俺は龍の形の光を見上げ、ペンダントをギュッと握りしめた。
「──母上」
頬に冷たいものが伝い指で拭おうとした刹那、ペンダントを握りしめた左手が熱くなり、指の隙間から青白く光を放った。
龍の形をした閃光がそれに呼応するように、俺の頭上を旋回しピタリと止まり、龍が実体化した。
真っ白な雪のように白い龍だ。
ぎらついた眼を見開き、俺を見据える。