王子、月が綺麗ですね
「ハーン殿、秘薬の効力は失せたのだな」

「おそらく……王子の身体の中で秘薬の後遺症と龍神が闘っておるのでしょうな。龍神は望月なれば完全な力で抵抗もできましょうが、力が足らぬのでしょう」

ハーン殿が俺の足のツボを揉みながら、考え考え話す。

「陰陽の気は龍神と月の満ち欠けに呼応すると申したな、それほどに密接なものなのか?」

「秘薬の接種で龍神の気も乱れておりまする。私にできることは、痛み止めの投与と衰弱したお身体に栄養剤の投与くらいしかありませぬな」

「望月には体力は戻り、痛みは治まるのか?」

「如何とも申せませぬな。秘薬の後遺症がいかほどかも判りかねます」

「……何も確かなことがないと申すか」

「ですから、よろしいのですなと念押しいたしましたな」
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