王子、月が綺麗ですね
9 葵side 奇跡
翌朝、船は南の都、朱里の港に着いた。
船長と数名の船員に「行ってらっしゃいませ」と見送られ、船を降りた。
船は折り返し王都に戻り、俺たちは旅回りの楽団として視察をする。
「行くぞ。此処からは敬語も敬称も無用、良いな。……言葉使いも変えなきゃな」
「好きにしておくれ。細かいことはごめんだね」
叔母上は頬に掛かった銀髪を掻き揚げ、気怠げに零した。
「市場へ行ってみるか、人の集まる場所だから情報収集できるだろ」
紅蓮は心なしか、顔がニヤついている。
王都では騎士たちの間で時々、紅蓮の日常が話に上ることがあった。
普段は鍛錬の時の凛々しさや厳しさとは違い、チャラいのだと聞かされている。
そう言えば、占い師の女性の際どい服装にも平然としていたことを思い出した。
いずれにしても、だれかれ構わず気さくに話せるのは良いことだと思いつつ、不安も感じた。
船長と数名の船員に「行ってらっしゃいませ」と見送られ、船を降りた。
船は折り返し王都に戻り、俺たちは旅回りの楽団として視察をする。
「行くぞ。此処からは敬語も敬称も無用、良いな。……言葉使いも変えなきゃな」
「好きにしておくれ。細かいことはごめんだね」
叔母上は頬に掛かった銀髪を掻き揚げ、気怠げに零した。
「市場へ行ってみるか、人の集まる場所だから情報収集できるだろ」
紅蓮は心なしか、顔がニヤついている。
王都では騎士たちの間で時々、紅蓮の日常が話に上ることがあった。
普段は鍛錬の時の凛々しさや厳しさとは違い、チャラいのだと聞かされている。
そう言えば、占い師の女性の際どい服装にも平然としていたことを思い出した。
いずれにしても、だれかれ構わず気さくに話せるのは良いことだと思いつつ、不安も感じた。