誤り婚−こんなはずじゃなかった!−
(きっといつか、私にも理想の彼氏ができる!そう信じてフリーターを目指した。だって、結婚するためには、デートもたくさんして愛を深めたいもん!そうやって地道に『お嫁さん』になる夢を叶えるの!)
今、まさしく彼女の夢が叶おうとしている。
(でも、その相手は、私が大好きになった人じゃなきゃ、意味なーい!!なんであんな胡散臭(うさんくさ)い異国人に旦那面されなきゃいけないの!?)
再びよみがえる屈辱的な気持ち。
(そりゃあ私はこんな平凡でモテない女ですよ。秋葉みたいに女子力高くないですよ。でもさ、でもさ、そんな女にだって、好きな人との結婚を夢見る自由があったっていいですよね!?チャンスを下さいよっ!神様、いるのなら、私の願いを聞いて下さい!もう一回、誰かに恋をするチャンスが、ほしいんです。)
困った時の神頼み。何を願ったらいいのか分からない。こんな状況に置かれ、あいなはひどく混乱していた。
ここから逃げたい。でも、相手は人間離れした能力を持っているので、難しいだろう。魔法なんて見たこともないけれど、こうしてここに居る以上、あいなは魔法の存在を信じざるをえなかった。
丸腰の自分が簡単に逃げられるほど、この部屋の監視も甘くないだろう。あいながこうして必死に考えているこの瞬間もきっと、ルイスやら他の誰かがあいなの動向に目を見張っているに違いない。